コンサルタントコラム

労働基準法と人事戦略


パートナー 山本 陽二

 この4月より働き方改革関連法が順次施行されて参ります。労働基準法制定以来70年ぶりの大改革であります。中でも長時間労働の是正はこの働き方改革の柱でありますが、とりわけ時間外労働の罰則付き上限規制や年5日の有給休暇の取得義務化により、企業におけるコンプライアンスへの意識がこれまで以上に高まってきていると感じます。

 例えば会社の働くルールを記した「就業規則」は、本来関連する法律の改正等により見直しをした場合、その旨を労働基準監督署に都度提出する必要があります。ところが最初に作ったままで修正も見直しもされていない企業は少なくなく、ここにきてあらためて自社の就業規則を確認されるケースが多くなっています。改めてコンプライアンス上問題ないか確認されるケースが垣間見られます。

 さて労働基準法第一条に次のような内容が書かれています。
 「この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない」(一部抜粋)とあります。
 この条文は今後の労使関係のあり方として改めて認識をしておく必要があると感じます。特に後段の「その向上を図るように努めなければならない」です。企業経営において利益の最大化という組織目標があります。一方で個を尊重したビジョンも大切です。これは相反するものではなく共存するものだと思います。自社の人事施策において、共存したものになっているか是非確認をして頂きたいと思います。

 ここで1日の所定労働時間を考えてみます。労働基準法では1日8時間、週40時間が法定労働時間として定められていて、これが最低の労働条件です。さて自社の1日の所定労時間は何時間でしょうか。もし8時間であるならこれを見直すのも意義があるのではと思います。例えば30分短縮して7時間30分する。その代わり働く時間一層集中しましょうよ、だったり、その分ライフの充実に充てましょう等、と呼びかける。その際各部門から時間短縮を実現するためにアイデアを募る等、社員のやる気に訴えかけるのも一考だと思います。最低条件を最低でなくしてやる気を促す考え方、これもモチベーションと生産性を高めるひとつの人事戦略だと思います。
 ただ所定労働時間を短縮することは簡単ではないとも思います。生産性を労働時間で考えている場合は発想もしないかもしれません。製造業や小売業等、時間と生産性が密接な業種では30分短縮すると売上に大きな影響を与えるでしょう。そんなこと考えること自体愚の骨頂だと思われるかもしれません。
 一方で時間を短縮すれば間接的ですが労働者には昇給と同じ感覚が得られます。短縮した時間内で生産性を高めれば労使ともにメリットがあると考えます。

 あくまでこれは例示ですが、お伝えしたいのは働き方改革を実践するにはこれまでない発想でそしてこれまでの延長線上ではない新たな視線で取り組む必要あるということです。今あるルールを一旦見つめてみる。それを戦略的に改革していく。労働力人口が激減し人材確保が難しくなる中、今まさに求められている視点ではないかと思っています。

執筆者紹介

パートナー

山本 陽二 やまもと ようじ

事業内容を十分把握し、経営方針や企業風土を踏まえた上で、公平で一貫性のある視点でのワンストップ人事コンサルティングの提供を心がけている。

人事コンサルタントのメルマガ登録

アクタスの人事コンサルタントがタイムリーな人事労務情報のコラムをメルマガで配信しています。

毎月配信