コンサルタントコラム

人事評価でありがちなアンコンシャス・バイアス(前編)


人事コンサルタント 宮川 淳

先日、あるプロジェクトの一環でクライアント企業の評価者研修の講師を務めました。
一般的な評価者研修では、まず座学形式で必要な知識や手法を理解してもらい、その後ケーススタディやワークショップにより実践してもらうのが通常です。このように先に型や手本を示してそれを実践せよとなると、大抵の方はその場では忠実に再現できます。しかし、時間が経っていざ本番となると我流に戻ってしまう・・・こういったことは、どの研修でもよくある話です。

そこで、本研修ではいきなり想定事例を用いたセルフワークから入り、「いかに自分の評価が適当か」気づきを得てもらうことを出発点としました。自身のクセや傾向を自認しておくことは、人事評価において極めて有用です。とりわけ「アンコンシャス・バイアス」と呼ばれる自分では気づいていないものの見方や歪み・偏りを自覚することは評価の適正化に大きく寄与します。

このアンコンシャス・バイアスは、様々な場面で誰もが陥る可能性があります。「男性は決断力に優れ管理職向き」「女性は細かい気遣いが上手い」など性に対するステレオバイアスはその典型例です。また、人事評価における「ハロー効果」もその一つです。ハロー効果とは、「高学歴の部下=仕事ができる」などと、一つの目立った面につられ他の面も同じように評価を下してしまうことです。

このようなアンコンシャス・バイアスは不当な差別の要因となり、ダイバーシティを阻害する要因として、人事評価だけでなく採用や登用など幅広い人事領域で弊害を生みます。では、実際にどの程度これらの意思決定にアンコンシャス・バイアスが影響するのでしょうか。

後編は調査データをもとに、バイアスの傾向と寄与度を踏まえながら、マネジメント上の対処策について考察していきます。

執筆者紹介

人事コンサルタント

宮川 淳 みやかわ あつし

人事制度設計から、労務監査等の人事コンサルティングをメインに活動。制度設計だけでなく、実務に根ざした現場レベルでの運用アドバイスを行っている。

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