コンサルタントコラム

年休消化義務化はまだ「序の口」?(前編)


シニア人事コンサルタント 宮川 淳

働き方改革関連法の施行まで3ヶ月を切り、対応に焦り始めている企業も多いのではないでしょうか。共通課題と言えば、やはり年5日の年次有給休暇(以下、年休)の消化義務化が筆頭にくるでしょう。この年休に対する企業への締め付けは、今回の法改正で当分終わりではなく、実は「序の口」なのです。今回はその背景につき紹介します。

厚労省調査(※1)によれば、2017年の年休の付与日数は18.2日で、そのうち社員が取得した日数は9.3日、取得率は51.1%(前年比1.7%増)となっています。2000年以降50%を割り込んでいた中で、久しぶりに大台を超えたものの、依然として先進国で最下位(※2)のままです。これに対し、政府目標(※3)は「2020年に70%」を掲げており、逆算すると一人当たり年間12.74日(2017年比だと3.44日増)と大きな隔たりがあります。

ここで、今回の年5日消化義務化が、どのくらい取得率を押し上げることになるのかを考察してみます。自主的に5日以上取得している者は影響がない訳ですから、法改正はこれまで5日未満の者の取得を底上げする原動力にしかなりません。この点、2017年の経団連調査(※4)では、管理職のうち22%、一般社員のうち11%が5日未満という現状です。このことから、改正によって1~2割の層が年5日のラインに押し上げられただけでは、全体で70%をクリアするには全く足りないことが分かります。

当然、政府もこのことは予見しているはずであり、政府目標を達成するために次なる手を講じてくるのは目に見えています。したがって、今回の年休取得義務化に対して、5日未満の者だけにフォーカスした対処療法的な施策は、早晩行き詰ることになるでしょう。むしろ取得率70%が最低ラインと捉えて、思い切った手立てを検討するのが賢明です。

次回の後編では、このような背景を前提に、今後の自社の「休み方改革」を推進する上でのヒントを解説していきます。

執筆者紹介

シニア人事コンサルタント

宮川 淳 みやかわ あつし

人事制度設計から、労務監査等の人事コンサルティングをメインに活動。制度設計だけでなく、実務に根ざした現場レベルでの運用アドバイスを行っている。

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