経験からの学習で人材を育成する
アクタスHRコンサルティング株式会社
2019年は「働き方改革」が人事の大きなテーマになります。会社は「働き方改革」の実現に、長時間労働を是正すると共に、会社の発展のために労働生産性を高めることも同時に進めていく必要があります。
労働生産性を高める方法の一つとして、従業員の能力開発を進め、会社が提供する付加価値を向上させることが考えられます。従業員の能力開発は職場でのOJTが代表的な手法のひとつとなります。今回はOJTの能力開発で役立つ経験学習について解説します。
経験学習とは実際に経験をしたことから学びを得る学習方法です。皆さんも「仕事で経験したことが、今の自分の成長につながっている」と感じる方は多いのではないでしょうか。経験を効果的に学びへとつなげる仕組みとして、組織行動学者のデービッド・コルブが提唱した「経験学習モデル」があります。
経験学習モデルは、経験からより深い学びを得るために次の4つのプロセスのサイクルを回すことで、経験を客観的に振り返り、その振り返りを次の経験に活かすことで能力開発を進めていく考え方です。
1.具体的経験→2.内省的観察→3.抽象的概念化→4.積極的実践
具体的にOJTの現場で見ていくと、まず、教え手は意図的に、本人の現在の能力よりも一段階レベルの高い業務や、これまで経験したことのない業務の経験機会を提供(1.)します。本人はレベルの高い経験、新しい経験からいろいろなことを感じとります。次に教え手は、本人がこの経験を多面的に振り返り、気付きを得て(2.)、次回の具体的な行動として何をすれば良いかを明確にする(3.)機会を積極的に作っていきます。経験からの学習効果を高めるには、この振り返りの質を高めることが重要です。そのためには、教え手による「振り返りを促す効果的な質問」、「振り返り機会の定期的実施の仕組化」といった支援が必要となります。さらに振り返りで得られた内容を実践する機会(4.)を提供することで新しい経験学習のサイクルが回っていきます。
是非、人材育成に経験学習を活用してみてください。