コンサルタントコラム

「働きやすさ」だけでなく、「働きがい」のある組織作りを


 アクタスHRコンサルティング株式会社

働き方改革により、年次有給休暇の取得率向上や長時間労働の解消が業種、規模に関係なく企業に求められています。
特に社員の離職が経営課題となっている企業では、働きやすい環境づくりに、フレックスタイム制やテレワークの推進、ノー残業デーなど、これまでも様々な改革を取ってきているかと思います。このような企業の中には、改革を進めていく中で、次のよう状況に直面することはないでしょうか。

〇全体的な離職人数は抑制されたが、将来を期待していた社員がどんどん辞めていく
〇働きやすい環境になったのに、社員の満足感が感じられない

この状態は、「働きやすさ」の改善に偏重し、「働きがい」や「やりがい」が満たされない組織になっているかもしれません。

アメリカの臨床心理学者であるハーズバーグが提唱した二要因理論があります。これは人間の仕事における満足と不満足の要因は別のものであり、分けて考えるべきという理論です。
満足に関わる要因を「動機付け要因」、不満足に関わる要因を「衛生要因」として、次のようなものになります。

動機付け要因:達成すること、承認されること、仕事、成長、など
衛生要因  :会社の方針と管理、監督、労働条件、対人関係、など

動機付け要因が満たされるほど、仕事に対する満足度は高まりますが、欠けているからといって、直ちに不満足につながるものではありません。一方、衛生要因が欠けていると仕事に対する不満足が高まりますが、満たされたからといって、仕事の満足度につながるものではありません。仕事において、動機付け要因はやる気を促進するエンジンであり、衛生要因は、安定のための土台といえます。この2つは、相互補完の関係にあり、どちらか一方に偏った組織は、バランスを欠いた状態といえます。

働き改革関連法で求められている対応は、主に衛生要因に関するものです。その対応に偏重し、「働きやすさ」が過度になりすぎると、「働きがい」が失われ、仕事への満足を求める社員の離職につながり、結果、ぬるま湯のような組織に陥る危険性があります。
身体を壊す、メンタル不調の社員が続出するような状態は論外であり、直ちに改善が必要ですが、働き方改革を真に実現するためには、働きやすい組織を実現すると共に、働きがいを満たす組織作りを同時に進めることが必要です。不満足の解消は満足度の向上とはならないのです。


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